11月末に無職転生の最終巻が発売された。
転生ものライトノベルの草分け的存在で、知る人ぞ知る作品だと思う。
作者は「理不尽な孫の手」さんだ。
この人の文章は本当に読みやすい。口語体で書かれているというのもあるのだが、すらすらと頭に入ってきて、情景が頭の中に浮かんでくる。
これは素晴らしい才能だと思う。
そして幕引きの潔さにも良かった。
ある意味大河ドラマに似た感覚がある。あくまでこれはルーデウス・グレイラットの物語であって、それは歴史の一部でしかない。
英雄が魔王を倒して終わり・・・ではない。
何より、キャラクターの設定が絶妙だった。ルーデウスは能力に恵まれてはいたが、決して一番ではなかった。そして英雄でもないし、世界を救うわけでもない。そこが近年量産されているチートキャラ設定の異世界転生物と一線を画す部分だろう。
地味に努力し、人脈をつくり、家族を守る。そんな姿が妙にリアルに感じる。
そしてルーデウスの存在がその後の歴史に大きな影響を残す。
それは30代でニートだった主人公が転生した世界で本気で生きようとした証だ。
読者である自分も「もう少し頑張ってみようかな」と思える、そんな作品だった。
今後は蛇足編が書籍化するそうなので、楽しみに待ちたいと思う。